2021玉子焼器の旅~その1 購入編










お弁当の定番メニューと言えば、玉子焼。

そのできばえを決めるのが玉子焼器。店に行けば、テフロン加工したものから、お一人様サイズのものまで、様々な種類のものが売られていますが、その頂点に君臨するのがピカピカと光る銅製の玉子焼器ではないでしょうか。そろそろ上級者向けの「あれ」を使ってみようじゃないか―と思い立ち、買いに行くことにしました。

大阪には、道具屋筋という、主にプロ用の調理器具を扱う商店街があります。東京で言うと、かっぱ橋の道具屋街にあたるようなところでしょうか。屋台で見かけるような大型のたこ焼き機などプロ用の厨房機器を扱う店、包丁専門店、看板を扱う店などがズラリと並んでいます。そのうち1軒に入りました。さすが道具屋筋。銅製の玉子焼器だけでも。2000円台から5000円まで、数種類並んでいます。パッと見、素人には違いがわかりません。

店員さんに話を聞いてみました。

「見た目一緒なのに、なんで、こんなに値段が違うんですか? 」

店員さん 「あぇ、これ? 要は手間やね。プレス機でポンと作っているか、職人が一つ一つ手で叩いて作るか」

私 「それでどんな違いが?」

店員さん 「そやね、厚みがちごうてくるんですわ。プレスではあんまり厚い銅板を加工でけへんけど、手仕事やったら厚い銅板でもなんぼでも叩いて曲げることができますねん。ぶ厚いと熱のもちもえぇですから」

なるほど、確かに。職人の作ったのは鉄板も肉厚でずっしりと思い。作りもしっかりしているようだ。プロっぽい木の柄を握った瞬間、

「板場、だし巻一丁!」「へい、お待ちぃ!」

そんなやりとりが聞こえてきそう。

とはいえ…とはいえ、なんです。素人がたまにしか作らない玉子焼に 5000円以上もするような道具を買っていいものだろうか…。素人が生半可な気持ちで職人が叩いて作るようなものを買っていいもだろうか…。確かに職人の手曲げ技術に投資し、技術の継承に貢献するのは意味がありそうです。…あるとは思いますが、そういうことは素人ユーザーの私がやることでしょうか…。

いや、ちょっと待てよ。そもそも、できあがる玉子焼(もっというと味)に違いが出るのかー。その点については、店員さんを直撃すると―。

「どうでしょうかね…」

という玉虫色な返事……なるほど。

このひとことですべてが氷解し、「プレス機でポン」 の安い方を買うことにしました。

プレスとは言え、この存在感!








コメント