お気に入りの料理本①

コラム お気に入りの料理本①
料理はつくるのも好きですが、料理本を読むのも大好き。わが家の本棚の中から、お気に入りを紹介します。
















「洋食大好き」(茂出木雅章/中央文庫ビジュアル版)=写真左
東京・日本橋にある老舗洋食屋「たいめいけん」の社長の著書。チキンカレー、オムライス、ロールキャベツ、ハンバーグから名物のボルシチまで。今や「クラシック」と言える昭和ムードたっぷりの洋食レシピが豊富なカラー写真とともに掲載されています。レシピの参考だけでなく、日本の洋食文化の生きた「記録」としても貴重な一冊。料理の作り方も懇切丁寧で、細かな注意点まで書き込まれています。2年前、仕事の関係で東京に転勤したとき、何度かお店に足を運びました。東京の知人から「隠れメニュー」として教えてもらったラーメンは、スープがコンソメっぽい独特の味でとてもおいしかった!

「壇流クッキング」(壇一雄/中公文庫)
女優・壇ふみの父にして、「火宅の人」で知られる作家、壇一雄が、昭和44年から産経新聞に連載した記事をまとめた本。
壇さんは家庭の事情で12歳からご飯をつくっていたそうです。日本はもちろん、世界各地を旅していた人らしく、カツオのたたきから、博多じめスペインの酢ダコまでレパートリーは豊富。ベタな土着的な料理を中心に紹介しているところがいい感じです。とにかく豪快でレシピも「塩適当」「薄かったらしょうゆを入れる」という感じ。「鶏の穴焼き」という料理では、多摩川に半メートルの穴を掘って石を敷き詰めるところから始まります。
小説「火宅の人」に、行き詰った主人公(本人)が突然、梅干やラッキョウを漬け込み始め、仕込み終わった瓶をアパートの窓辺に並べ、瓶が陽光にキラキラ光っているのをウットリ眺めるシーンがあります。私はこのシーンが大好き。その気持ち、よくわかる・・・という感じです。料理のハウツー本としてはもちろん、読み物としてもすばらしい本です。

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